正解 B
ではどうして B なのか、解説していきましょう。
バファリンに含まれるアスピリンとは?
話の内容から、この男性客が服用中の薬は、医師から処方された「バファリン配合錠 A 81」であるようです。バファリン配合錠 A 81 の成分は、アスピリン(アセチルサリチル酸)です。そのアスピリンが血栓予防に効果があるのです。
バファリン配合錠 A 81 と小児用バファリンの成分は違う!
しかし、薬局で売られている「小児用バファリン」の成分は、アセトアミノフェンでありアスピリンを含まないため、血栓予防薬としての作用はありません。したがって、この男性客に小児用バファリンを販売してはいけません。小児用バファリン以外にも、"バファリン"という名前に惹かれて、バファリンルナを購入する人がいるかもしれません。バファリンルナの成分も、アスピリン(アセチルサリチル酸)では無いため、血栓予防薬の代替薬にはなりませんので販売してはいけません。
バファリン製品の成分を復習しましょう。
以下にバファリン製品(液剤はのぞく)の成分(表 1)をまとめました。
表 1 バファリン製品(液剤はのぞく)の成分
商品名 |
成分(1 錠または 1 包中) |
バファリンプラス S |
アセチルサリチル酸(アスピリン) 250 mg、アセトアミノフェン150 mg、無水カフェイン 60 mg、アリルイソプロピルアセチル尿素 15 mg、乾燥水酸化アルミニウムゲル 35 mg |
バファリン A |
アセチルサリチル酸(アスピリン) 330 mg、合成ヒドロタルサイト(ダイバッファーHT)100 mg |
バファリン顆粒 |
アセチルサリチル酸 660 mg、合成ヒドロタルサイト(ダイバッファー HT)268 mg |
バファリンルナ |
イブプロフェン 65 mg、アセトアミノフェン 65 mg、無水カフェイン 40 mg、アリルイソプロピルアセチル尿素 30 mg・・・30 mg |
小児用バファリン CII |
アセトアミノフェン 33 mg |
小児用バファリンチュアブル |
アセトアミノフェン 50 mg |
アスピリンを含むバファリンなら大丈夫?
この表を見ていると、バファリンプラス S、バファリン A、バファリン顆粒は、アスピリンが主成分なので、このようなお客さんに売っても良いのでしょうか?
でもアスピリンの血栓予防作用は少量で効果があると登録販売者の試験問題集に書いてあったようにも思います。やはり、売ってはいけないのでしょうか?
アスピリンの投与量が多くても(1500 mg 程度まで)血栓予防効果はあるようですが、アスピリンの服用量が増えると胃腸障害などの副作用も多くなるので、基本的には低用量療法(75〜350 mg/日)が薦められています。中にはアスピリンの含有量が多いものもありますね。ですから、治療効果をコントールできないのです。それと、バファリンプラス S などを飲むと、余分な成分も一緒に摂取することになりますから、決してお奨めできません。そうすると、アスピリン含有の製剤も売らない方が良さそうです。
この様なお客様への指導はどうするか?
でも、アスピリン(バファリン配合錠 A 81)を飲まないと、血栓が予防できず、お客様が困るのではないかという疑問がでてきます。
実は、アスピリンの服用を一日も欠かしてはいけないというわけでは無いのです。血小板が凝集(何かの刺激を与えると血小板同士が付着する)と血栓ができるのですが、アスピリンがその凝集を阻止する作用は 8-10 日間持続することが知られています。したがって、短期間であれば、アスピリンを服用しなくてもすぐに血栓ができるというわけではないのです。
しかし、患者さんが薬を飲めなくなっている期間など不明な場合もあることから、「急ぎ、近くの病院・診療所・クリニックなどにかかって、事情を詳しく説明して、バファリン配合錠 A 81 を処方してもらうように指導することがベストだと思います。何事も素人判断は危険です。
バファリンを購入しようとしているお客様には要注意!
それと、何故バファリンが必要か、薬を持ってこられた時最初に聞くのが非常に重要ですね。この場合、大人が小児用を買おうとしたのでわかったのですが、女性(男性)がバファリンルナを購入しても、別に変ではないのでそのままレジを通してしまいそうです。
でももしかしたら、そのお客様は、血栓予防効果があると思ってバファリンルナを購入しようとしているかもしれません。
バファリン類をレジに持ってきた方には、
「お医者さんでもらっている薬はありませんか?」
と必ず聞いてください。
そして、何故そんなことを聞くの?とお客さんに聞かれたら、
「病院で処方されている血栓予防の薬と間違えて、購入されるかたがいらっしゃるので、
念のためにおたずねしています。」
ときちんと説明しましょう。
<今回のチェックポイント>
●市販薬のバファリン製剤と医師が処方するバファリン製剤とは違う!
●市販薬のバファリン製剤を購入しようとするお客様には普段の服用薬をチェック!
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