一般用医薬品販売経験年数(登録販売者としての経験年数)は?
どのような施設ですか?
- 関東地方に展開するドラッグチェーンストア。
- 登録販売者 2 名、薬剤師 1 名、その他 2 名が従事している。
何が起こりましたか?
- 60 歳代の女性がレジカウンターでマスク購入のため支払いをしている時に「ちょっと聞きたいのですが・・・血をサラサラにする薬を病院からもらって飲んでいるのですが、納豆は食べてはいけないのですよね?」と言った。
- 更に話を聞くと、知人から「血をサラサラにする薬を飲んでいる人は納豆を食べると薬の作用を弱める!」と言われたため、この半年間、納豆を一切口にしていないとのことだった。
- そこで何を飲んでいるのか聞いたところ、毎日飲んでいるのは、パナルジンとバファリンという名前の薬であった。
- ワルファリン(血が固まるのを防ぐ薬)という薬を飲んでいる時は、納豆摂取は禁止であることは知っていたので、血をサラサラにする薬なら、同じように納豆は禁止であろうと思って、「食べない方がいいかもしれません。」と述べた。
- その時、薬剤師は店内に不在であったのでその場で聞くことはできなかった。客が退店後、戻ってきた薬剤師に聞いたところ、パナルジンとバファリンを服用している患者は納豆を禁止する必要はないということであった。客に誤った情報を提供したことになる。
なぜ起こったのでしょうか?
- ワルファリンと納豆の相性は悪いということはよく認識していた。しかし、ワルファリンは「血が固まるのを防ぐ」効果があるということから「血をサラサラにする」効果があるというイメージへ移行し、パナルジンとバファリンという薬もワルファリンと同様に納豆と相性が悪いと思いこんでしまった。
- 医療用医薬品に関する情報については、あまり良く知らないため、薬剤師が戻ってくるのを待って相談しなくてはいけなかったが、あやふやな知識のまま接客してしまった。
今後の対応はどうすればいいのだろうか?
- 医療用医薬品が関係した情報を客に提供する場合には、必ず薬剤師に相談する必要がある。
- 患者向けの「くすりのしおり」がすぐに確認できるように、インターネットが使える環境にしておく。
これだけは知っておいてください!
- 納豆が禁止されているのは、抗凝固剤(血が固まらないようにする薬)のワルファリンのみである。納豆に含まれているビタミン K がワルファリンによる血液の抗凝固作用を弱めてしまい、その結果血管が詰まって血栓症を発症し、最悪の場合、脳梗塞、心筋梗塞を起こしてしまう。
- 客が服用しているバファリンやパナルジンといった薬(血液中の血小板の働きを抑えることにより、血管の中で血の塊(血栓)ができやすくなっている状態を改善し血栓症の再発を防ぐ)はビタミン K の影響を受けないので納豆を食べても特に問題はない。
- 患者向けの「くすりのしおり」などでは、バファリンやパナルジンは「血液をサラサラにして、固まるのを防ぐために使われます」などと説明され、ワルファリンの「血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぎます」という説明とほとんど区別が付かないので、患者が間違って理解している場合もあり注意が必要である。
<アイレドシスノート>
●血をサラサラにする薬のリストアップ!
パナルジン、プラビックス、バファリン、バイアスピリンなど
●ワーファリン服用患者に売ってはいけない商品
クロレラ、青汁
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